ボディタッチセラピーとは、 手を通じて触れるケアの一つで、 皮膚を撫でる・さする・手を当てるなどの方法を用いて行われます。 タッチにより、痛みが緩和することは経験的に知られていますが、 科学的根拠としてゲートコントロール説やオキシトシンホルモンの関与が考えられています。 特に、オキシトシンは鎮痛のほか、免疫力の向上や人間関係における愛情や信頼関係の構築にも影響を与えることが分かっています。 また近年、他者による接触の有効性、効果の高い接触部位、初心者とエキスパートとの効果の差異など、ボディタッチセラピーの効用を裏付ける研究結果が出ています。
92.1% の看護師の方が、普段から安楽を意識してケアをしているというデータがございます(※1)
一方で、安楽について十分な技術を持っていると感じている看護師の方は少ないのではないでしょうか。
リラクゼーションサロンやアロマサロン、マッサージ店などで働く施術家が行っている手技は、この安楽効果を高める有効な手として今注目を集めています。
看護師さんがプロのボディタッチセラピーを身につけることで、ストレス・疼痛管理、自律機能の向上、免疫力の向上、QOL の改善をもたらすことができると考えられます。
施術家が行う手技は、何も難しい事ばかりではありません。
ちょっとしたコツや知識を知っていれば、すぐに実践する事が可能です。
そのメソッドをお伝えする看護師の方を対象としたボディタッチセラピーのセミナーが昨年開催され、3回のセミナー全てが満席となった人気の講座がDVD化されました。
誰にでも簡単で疲れない技術を身につけることができます。
本編では、なぜ?ボディタッチセラピーが必要なのかを言葉(理論)で、どのように触れれば気持ちよくなるか身体(実践)で解説しています。
気持ち良さ、心地よさ
副交感神経優位状態をつくることで、ストレスによる過剰な交感神経優位状態を抑制する。これにより様々なストレス反応を抑制。例えば、コルチゾルによる免疫抑制状態からの解放、海馬(感情形成に関与)の働きを取り戻し不安・抑うつ感の緩和、セロトニンの分泌を促した結果、認知レベルでの安寧効果をもたらす。
触れること
触圧刺激が痛覚刺激を抑制する(ゲートコントロール理論)ほか、オキシトシン分泌による安心感、自己愛感、リラックスを促がすとされている。また、心拍数の減少、血圧低下、睡眠の質改善(良好な休息)、精神障害児の症状緩和、喘息の呼吸機能改善などに効果があったことも報告されている。
・手浴時や足浴時に快を伴う施術ができる
・心地よい「拭き方」ができる
・体位変換やリハビリ補助で安全で気持ち良い触察ができる
・術後の不快感、痛みの辛さを和らげる擦り方ができる
・術前の不安を落ち着かせる触れ方ができる
+ 上記、普段から触れることで得られる効果を増進
桜美林大学リベラルアーツ学群 教授
早稲田大学 人間科学部 卒業
早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了 博士(人間科学)
「触れる」ことをテーマに、20年にわたり研究。セラピストをはじめ、子育て、看護などさまざまな人を対象に幅広く研究を行っており、流派に捉われずエビデンスのある触れ方の質について追及。研究では特に「幸せホルモン」であるオキシトシンを分泌させるための触れ方について研究しています。
JSTAS認定整体師、リフレクソロジスト
代替医療業界、手技療法歴20年。10代後半から頭痛・生理痛・腹痛・冷え・ムクミ・肌荒れなどの体調不良に悩まされ、市販の薬で対処。年々ひどくなる症状に西洋医学への不安と疑問が増す。自然療法によって、心と体が根本から改善されていく考えに共感し、整体の道へ。整骨院、介護分野、リラクゼーションサロンの立ち上げに参画、教育担当として指導。講師業を行う傍ら、自宅サロンも開業。整体だけでなく、アロマセラピー、リンパドレナージュ、リフレクソロジーを組み合わせた施術と、食事、排泄、睡眠など生活習慣の指導を通して、体質改善を目的としたオーダーメイドの施術を行っている。一人ひとりの悩みに合わせた施術は、特に女性客から好評を得ており、リピーターが後を絶たない。
「こんなに痛いの我慢して続けて、生きる意味ってあるのかね」
がんの闘病を続ける、60代男性の患者さんからの言葉でした。
なんと声をかければいいんだろう…
どのように接すれば、患者さんの心は落ち着くのだろう…
痛みを少しでも和らげることはできないだろうか…
多くの患者さんと接してきて、
このように思うことは1度や2度ではありません。
看護師として、一人の人として何とかできないかと、
悶々とする日々。自分の限界を感じることばかりです。
そんなとき、私は、知り合いの施術家から
マッサージについて教えてもらいました。
リラクゼーションサロンで働く彼女は、
人を癒やすための方法を多く知っていたのです。
"手を触れること"
"足をさすること"
"人に触れる"ということだけでも、
看護師と施術家には大きな差がありました。
普段やっていることだけでも、患者さんに
「気持ちいい」と感じてもらえる方法があったのです。
それから、私は例のがん患者さんに毎日の
バイタルチェック時の1~2分の間、
他愛もない会話をしながら、
気持ちいい触れ方を心掛けるようにしてみました。
そんな日々を重ねるごとに
患者さんの表情が明らかに変わってきたのです。
「気持ちいいよ、いつもありがとう」
「もうちょっと、やってってよ」
「いつも、この時間が楽しみなんだよ」
そう言ってくれるようになりました。
痛みを取り除こうとした訳ではありません。
がんが治った訳でもありません。
ただ、患者さんは、生きるということを以前よりも
前向きに捉えてくれるようになりました。
看護師として、本当にうれしかった瞬間です。
「生命力の消耗を最小にするよう整える」ことが
以前よりできている。
私が、やりたかったことは、こういうことだったんだ。
そう改めて感じました。
日々の看護業務に加えて、施術家の安楽を入れたことで、
心が救われたような気がしたのです。